コラム

英検の特徴とメリット

英検は日本では馴染み深い、英語能力を測定する検定です。現在ではグローバルに活用されるTOEICの知名度が高くなっていますが、4技能をしっかり測定することができる英検もまた依然高い知名度を維持しており、進学・就職などの局面で充分活用可能です。今回はそんな英検の特徴や資格取得のメリットについてご説明します。

英検の特徴

英検は7つの級に分かれ、スピーキング・ライティングのテストもあるTOEICとは異なる特徴があります。そんな英検の特徴について、いくつかのポイントに分けて説明します。

日本の英語教育の軸となってきた英検

英検は日本国民の英語力向上を主目的に1963年から実施されて以降、日本の英語教育の軸となって発展してきました。ただ歴史が長いというだけではなく、常にその試験方法はブラッシュアップが図られています。近年では下位の級での作文の導入や、4級以下でもスピーキング測定が受けられる(ただし合否には影響しない)など、より実用性と技能アップに資する試験形式に変化しています。

また、英検は「英語力を向上させる」ことが検定の存在目的となっていることから、ただ英語能力を点数化して終わりというのではなく、個々のレベルにあった試験設定や、検定受検後の学習に資する制度、総合的な英語能力の研鑽に寄与する試験内容といったところにとくに気が配られております。このあたりは英語力を点数化し証明することが主目的となっているTOEICとは対照的な特徴となっています。

7つの級により幅広い年齢・技能の層に対応

TOEICのように一つのテストで全ての受検者を測定すると、まだ英語能力が発展途上の場合は点数が極端に低く、運次第で点数が変化する要素が大きくなってしまいます。一方、留学生など英語上級者は900点〜満点の勝負になるため、本来英語能力とは関係ないケアレスミスで点数に影響してしまうこともあります。

一方、英検は技能に合わせて7つの級に分かれていて、それぞれに適切な問題が設定されており、各級ほどよい難易度になっていますので、より精緻に英語能力を測定することができるようになっています。また5級は中学校の初級、1級は大卒の上級レベルと、難易度の幅も幅広くなっているので、幅広い年齢層が受検しやすい試験です。

4技能をバランスよく測定

TOEICは一般的にLRの知名度が高く、リスニングとリーディングのみを測定するテストです。ライティングなどを測るテストも別に受検することができますが、まだまだ知名度は低いです。一方英検は級が上がると共にリーディング・リスニング・ライティング・スピーキングの全技能を測定できるようになっています。実際に仕事や学業で英語を使うことを考えると、本来はこの4技能を測定し、研鑽できた方が望ましいのは言うまでもありません。

とくに、スピーキングにおいては上級クラスになると本格的なスピーチや会話両方が試験内容となり、ライティングでは数百語クラスの英作文になるので、ビジネスや大学まで目を向けても実践的な英語力を測定することができます。

具体的には、英語の基本4技能が、それぞれ以下の要領で測定されていきます。

・リーディング:一次試験として5級から測定されます。選択マーク式の試験で測定され、文法、長文双方の設問が出題されます。

・リスニング:5級から測定されます。一次試験の途中でリスニングの出題時間が設けられます。選択マーク式です。

・ライティング:記述式で3級から一次試験にて測定されます。3級は設問回答方式ですが、上位の級は一定のテーマに基づく自由英作文で、本格的なライティング能力が測られます

・スピーキング:3級以降二次試験で測定されます。3級では文章の読み上げと簡単な質疑応答程度ですが、上位の級になるとスピーチや本格的な会話力が試される面接官とのやりとりに進化していきます。

ビジネス・日常会話双方に対応

TOEICはややビジネスマン向けの英語試験という側面が強く、設問のシーンもビジネス関連のものが多いですが、英検についてはそのような特徴はなく、日常、学業、ビジネスと様々なシーンを想定して試験が構成されています。従って多様な英語の用途に対応できる検定と言えます。

留学において認定する機関を多数設定

英検は日本固有の検定でありながら、留学時の英語力の基準の一つとなっている海外の教育機関が複数あり、自身の英語力を証明するものとして活用することができます。従って留学候補生には人気かつ活用しやすい検定です。

英検を受験・資格保有するメリット

上記の特徴でも英検の長所はいくつか見えてきましたが、続いては「受検し資格を取る」ことにおけるメリットをいくつかご紹介します。

4技能・とくにスピーキングとライティング能力を獲得できる

英語能力の研鑽という側面からは、4つの技能をバランスよくブラッシュアップできることが英検にむけて勉強をし、受検する最大のメリットなります。とくにそのなかでも日本人があまり得意としていないスピーキングや、TOEICでは測定することのできないライティングのテストが実施される点が、英検固有のメリットといえるでしょう。

実際にTOEICはスピーキング能力がなくても高得点を取ることができます。日本の学校教育においてはスピーキングをブラッシュアップするシーンが多くないので、「TOEICは高得点だけど、話すことができないので学業・ビジネスにおいて英語を活用しきれない」という方は多いです。そうした方は英検に向けて自己研鑽を行うことで、総合的な英語能力を獲得できるようになります。

級が分かれていることでスムーズに目標設定ができる

英検は先に説明したように7つの級に分かれていて、それぞれにレベルの目安が設定されています。英語初級者も上級者もこれらのレベルの目安を参考に受検を進めることができ、級にわかれていることで「◯級の合格」といったように目標が設定しやすくなります。

自己研鑽というのは目標が明確にあった方がより効率的に技能を身につけることができ、その点英検は英語能力を向上させる上で合理的な構造になっていると言えるでしょう。

問題文を持ち帰って復習ができる

英検は問題文をそのまま持ち帰ることができます。従って、英検が終わった後も問題内容を改めて復習することができます。TOEICはあくまで英語能力を測定するための試験となっていますが、英検はその後の自己研鑽ツールとしても活用することができます。このあたりは英検とTOEICの英語検定の存在目的の差が現れていて、英検は日本人の「英語能力向上」を目的としている部分が強く、敢えて問題文を持ち帰ることができる仕組みになっています。

就職・留学に役立つ(とくに通訳)

先に紹介した通り、英検を入学時における基準として適用することができる海外の教育機関もあります。また明確な基準とはなっていなくても、レジュメ・願書などに記載することで一定の英語力の証明に寄与することはいうまでもありません。

就職においては、TOEICの点数を設定している企業が多くなってきていますが、一方で、英検の級数をTOEICに読み替えて見てくれる企業も多いです。高い級を保有している場合は履歴書に記載しておくことでアピール材料になります。また、単に就職活動のためというだけでなく、入社後に英語を活用することまで視野に入れると、4技能をしっかりと身につけることのできる英検取得に向けて学習しておくことのメリットは大きいです。

英語を活用してビジネスや留学を考えている方は、最低でも2級、できれば準1級を取っておくことで、コミュニケーションに大きな支障なく活動ができます。

また、通訳資格を取得したい場合は、とくに英検を取得するメリットがあります。通訳案内士という通訳になるために必要な資格試験がありますが、こちらは英検1級を保有していると、一次試験が免除される仕組みになっていて、英検1級を保有することが通訳案内士資格取得の近道となるのです。

英検は実務を想定した資格

以上のように英検は日本人が苦手とする技能までしっかりとカバーし、日本人が総合的な英語力を測定し、またさらにブラッシュアップさせていく上でとても適した構造をしている優れた試験です。近年ではどうしてもTOEICにスポットが当たりがちですが、このような特徴から英検の意義は薄れることはありませんし、むしろグローバル化のなかで英語力が必要となる局面は多く、実用性高い英検を受けるメリットはより高まってきています。

ビジネス・留学と「単に合格・内定をとるためではなく、実際に英語を使うことを想定している」という方は、TOEICだけでなく英検を保有しておくことをおすすめします

ピックアップ記事

オンライン英会話 Universal Speaking(ユニバーサルスピーキング)

最近のコメント

    カテゴリー