英検1級だとどんな仕事ができる?
英語を使用する仕事に就くにはいくつかの方法があります。
実務をこなしていくなかで実践英語を磨いていくことができれば理想的なのですが、そもそも目に見える資格や免許といったものを持っていなければその仕事に就けないという現実もあります。
そこで取得しておけば有利になるものにTOEIC900点以上や英検1級というものがあります。
ここでは英検1級を取得するための方法と、取得した場合に考えられる仕事についてご紹介します。
英検1級とは?
英検は高校入試や大学入試でも有利になるだけでなく就職においても有利になる資格です。総合的な英語力が判断されるために仕事の内容によっては即戦力と判断されることも多いでしょう。
TOEICは「読む」「聞く」という力が重視されており、英検はそれに「話す」が加わってきます。
どちらを取得するべきか、どのくらいのレベルの関係性があるかということですが、だいたいの目安として、
「英検1級」=「TOEIC900点以上」
「英検2級」=「TOEIC600点以上」
と考えておけば良いでしょう。
どのような資格でも履歴書に書くのは「2級以上」というのが基本となります。英検に関しても2級以上を取得していれば就職に有利になると言えます。英検1級を取得できれば外資系を中心に就職が大きく有利になるのですが、その合格率は10%以下という難関です。
ここを合格するということは、もちろんそれ相応の英語力を持っているということはもちろん、その取得に対する計画性や継続して努力をし続けることも合わせて評価してもらえることになるのです。
英検1級を取得するには
かなりの英語力を持っている人が受験しても10人に1人しか合格しないと言われているのが英検1級です。その特徴はとにかく覚えなくてはいけない単語の量が多く、1級に合格するためには12,000~15,000語の単語を覚える必要があります。
準1級に合格するために必要な単語量が7,000~8,000語と言われていることを考えると、倍近くまで覚える単語量が増えることになります。これはリーディング、ライティングだけでなくリスニングにも影響してきます。1級には「読む」「書く」「聞く」「話す」の4つの技能すべてが必要となり、単語を知らなければ聞き取ることもできないということになるからです。
試験方式
一次試験は筆記とリスニング、二次試験には面接があります。筆記試験は100分のもので英作文は記述式、そのほかはマーク式となっています。一次試験に合格した場合のみ二次試験に進むことができます。
2015年度までは1問1点で、合格点を超えていれば合格という明確なラインがあったのですが、2016年度からは技能ごとに出されたCSEスコアで判断されるようになったため、明確な合否基準はわからなくなっています。
ただし日本英語検定協会が7割程度の正解率の多くが合格したと公表していることからも7割程度の正解を目指すのが良いでしょう。
このCSEスコアは「リーディング」「リスニング」「ライティング」の3技能がそれぞれ850点満点で合計2,550点満点です。
合格基準スコアは2,028点ですので、それぞれの技能で点数を取らなければ点数が足りません。とくにライティングの850点はポイントになるでしょう。
この一次試験に合格すると面接形式の二次試験に進むことができます。日本人およびネイティブスピーカーの面接官と約10分の面接を行います。与えられた5つの話題、トピックのなかから1つを選んで約2分間スピーチを行い、スピーチの内容に関して面接官から質問され、それに答えます。
1級の二次試験では社会性の強い話題が選ばれることが多く、科学や芸術、経済などに対して意見を言えるかどうかも重要になります。この二次試験の合格もCSEスコアで決定されます。
850点満点のうち合格基準スコアである602点をとると合格になります。
スピーチの内容、応答の内容、どれだけの語彙力か、文法の正確さ、発音について、などが総合で評価されます。
英検1級を取得すると考えられる仕事とは
英検1級を取得していれば、英語に関する仕事につくことができそうなイメージがありますが、実際はどのような仕事があるのでしょうか。
通訳
英語ができると、通訳という選択肢がありますが、実は通訳にもさまざまな種類があります。
「逐次通訳」:話し手がはなしている間にメモをとっていき、終了してから訳していきます。インタビューなどに多い基本的な通訳です。
「同時通訳」:話し手が話している間に同時に訳していくものです。語彙力、文章力、聞き取り力など多くの力が必要となり、通訳の仕事のなかでも目立つ仕事となります。
「ウィスパリング通訳」:こちらもほぼ同時に通訳していくものですが、通訳している人が話し手の耳元でささやくように訳していくものになります。
あちこちで言語が飛び交っているなかでの通訳になるため、非常に高度な技術と集中力が必要と言われています。
これらの種類をもとに、通訳にはさらにいくつかの職種があります。
「会議通訳者」:国際会議のような大きな会議でも活躍する通訳としても上位の仕事です。
「ビジネス通訳者」:国際的にビジネスが行われている企業などで取引先との通訳を行う仕事です。
「エスコート通訳者」:海外からのスポーツ選手、芸能人などの通訳を行う仕事です。
「コミュニティ通訳者」:近年増加している海外からの旅行者や移住者に関係する通訳を行う仕事です。
「放送通訳者」:海外メディアの情報を通訳する仕事です。内容によっては同時通訳をしなければいけないこともありますので高い技術が要求されます。
「通訳案内士」:この仕事だけは他の通訳とは少し種類が異なり、唯一国家試験に合格しなければいけない仕事で、観光地を案内する際にその土地の地理、歴史、文化について説明をする仕事です。
語学力だけでなく日本地理、歴史、産業、経済、政治の関する一般常識に関する試験を合格しなければならず、合格率は20%ほどしかありません。
通訳の仕事は、英語力はもちろん、対応力や文章力など他の力も必要となることがわかります。
翻訳
翻訳家という仕事もあります。映画やドラマなどの翻訳を行ったり、貿易などの国際手続き書類の翻訳を行ったりと様々な仕事があります。
翻訳家になるための資格というものはありませんが、英検1級やTOEIC900点といったところが基準とされることが多く、そのためまず語学力があることが基本となります。
ただし、翻訳の仕事だけで高額な収入を得ることは難しく、翻訳専門の会社に就職できれば安定しますが、実務経験や実績がなければなかなか就職も難しいと言われています。
また、フリーでやっていくにはかなりの実力や実績、人脈がなければやっていけません。
翻訳を必要としている業界、関係者に知り合いが多ければそこから仕事が回ってくる可能性がありますが人脈がない人には難しいでしょう。
一方、翻訳の仕事をするのにもっとも必要になるのが「知識」と「日本語力」です。
ドラマや映画、法務関係の書類などは訳する際に専門知識がなければ正しく訳することができません。
訳した文章が読みにくい、わかりにくい、感情移入しにくいというのではまったく評価されません。
つまり英語の文章を日本語に訳するのであれば、英語力と同時に日本語力もなければ高いレベルでの翻訳はできないということになるのです。
外交官
高い語学力を活かして外交官という仕事を目指すという道もあります。海外に赴任することもありますし、国内の大使館勤務になる場合もあります。もちろん外交官に求められるのは語学力だけではなく、海外に赴任している場合は、その国の状況などを予想して日本に報告しなければいけません。
また、相手国の外交官とハイレベルな交渉をしなければいけないこともあります。人脈を作るための社交性なども求められます。政治的思考も含めてそれらの力が総合的に求められる仕事なのです。
英語教師、塾講師
英語の能力が高い、自分が勉強をして英検1級をとったということから教師、もしくは講師になるという道もあります。この仕事に就くと英語を指導するということが主な仕事になるのは当然ですが、教師になった場合は生徒や保護者とのやりとりも頻繁に起きるので、単純に教師としての総合力も必要となります。
塾の講師であればまだ指導の割合が多いとは思いますが、塾の場合は「生徒を増やす」という別の仕事が出てくることもあります。
「純粋に英語だけを教えていたい」という欲求は教師や講師についてもなかなか叶えられないということになるかもしれません。
国際的なビジネスをしている企業
英語を専門とする仕事ではなくても、海外に支店がある企業や海外の企業と取引をしている企業にとっては高い語学力がある社員は必要とされる人材です。
英語だけをしている仕事というわけにはいきませんが、その語学力は大いに活用できるでしょう。
ただしこの場合も、営業であれば交渉力が、事務であれば事務能力が、その他にも企画力や運営力など職種に応じた様々な能力が必要となるのは間違いありません。その職種に応じた力を磨いていきましょう。
英検1級で広がる選択肢
このように、英検1級を取得しているとそれを活かした色々な仕事に就ける可能性が広がります。
ただし、どの仕事に就いたとしても「英語だけをしていれば良い」ということはまずありません。
の他の能力や技術、スキル、資格が必要になる場合がほとんどです。
ただどの仕事でも英検1級を取得した努力や集中力は評価される傾向にありますので、それは利点と言えるでしょう。
また、通訳や翻訳などを中心に「人脈」が必要になる場合もあります。英検1級を持っているからということではなく、人としての付き合い方も重要になってきます。必要な力を磨くと同時に人脈を広げていくことが英語力を活かして仕事をしていくのに必要です。