TOEIC900点のメリットとは?実際に取得してみて
TOEICという試験は受験者の頑張りや努力がスコアに反映されやすいといわれます。特にTOEIC900点というハイスコアを取るためには、相当な努力が必要なことは容易に想像できますね。900点を取る人はTOEIC受験者全体のわずか3.6%しかいません。ここでは、TOEIC900点取得後のメリットに関して筆者の体験談も交えてお伝えします。
TOEIC900点でアピールできること
企業側はTOEICで高スコアを取っている人の英語力を評価して採用を決定します。さらに、努力家、勤勉、向上心、忍耐力、目標達成能力、海外事情への興味関心といった付加価値をつけて見てくれます。これは入社後も続き、責任ある仕事を任せてもらえるので、働き甲斐に通じ、収入アップにもつながります。まさに、良いことづくめで、色々な意味で、アピール力になりますね。
しかし、注意点もあります。TOEICは一般的に英語のリスニングとリーディングだけの評価ですので、アウトプットであるスピーキングとライティングの力もあることの証明にはなりません。「TOEICは高いが、話せないのか?!」と言われないよう、更なる勉強が必要になってきます。TOEIC S&WやIELTSを自主的に受験するなども一案です。
国際部門が期待するTOEICスコア
(引用:2013年「上場企業における英語活用実態調査」報告書http://www.iibc-global.org/library/redirect_only/library/toeic_data/toeic/pdf/data/katsuyo_2013.pdf)
上の表を見ると、国際部門期待スコアの平均は750点となっています。そして、900点以上を求めている企業が11%、そして800点以上が27%です。もし皆さんが国際部門に転職を希望しているなら、最低でもTOEIC750点獲得は必須ですね。是非、それ以上の800~900点を目指してください。
そのためには、リスニングで高得点を取ることがカギです。そこでお勧めする勉強法は「NHKラジオ実践ビジネス英語」をしっかり予習をして聴くことです。最新のトピックで飽きることなく勉強できます。
TOEIC900点のメリット
TOEIC900点を取得すると、どんなメリットがあるのかを列挙してみましょう。
就職の幅が広がり収入アップにつながる。
TOEIC900 点の効果で、国際部門のある企業への就活や転職の切り札になります。責任ある仕事も任せてもらえることから、必然的に収入アップにつながります。次にTOEICスコアと報酬の関係をみてみます。少し古いデーターですが、2015年のマイナビニュースを参考にして、ご紹介します。
希望する会社に転職できた転職経験者に、希望する転職ができたのは特にどの資格があったからだと思うか尋ねたところ、「専門の資格」が13.5%、次に「TOEICテストなどの語学系資格」が12.3%、「MBA」が4.3%。TOEICスコア700点以上の人だけに限定すると「TOEICテストなどの語学系資格」という回答が56.5%と最も多くなっています。
転職経験者に希望する会社に転職できたかどうか聞いたところ、70.0%ができたと回答し、転職経験者の中でも、TOEICスコア700点以上の人は87.6%ができたと答えており、転職経験者全体と比べ15%以上も差が付いている。
また、転職によって年収がどの程度アップしたか聞いたところ、1.3倍以上アップした人が全体の27.0%を占め、中でも、TOEICスコア700点以上の転職経験者は1.3倍以上年収アップした人が60.4%と、転職経験者全体と比べ、2倍以上の結果となっています。
TOEICスコア700以上の場合、年収には正の相関があることがわかりますね。以上からも、高いTOEICスコアを持っていることは、チャンスをいかに広げてくれるか、理解していただけたと思います。
自信や自尊感情アップにつながる。
TOEIC900点は受験者の中で上位3.6%なので、自分の英語力に対する自信や、自分を肯定的に見ることができる自尊感情が高まります。自分を努力家・勤勉家、向上心や忍耐力、目標達成能力のある人と他人が見てくれることは、大変うれしいことです。
TOEIC900点を取れば海外出張に行ける!
海外取引などの仕事を任せてもらうことが増え、海外出張に行くチャンスが多くなります。
筆者の体験から
僭越ながら筆者の体験を述べます。筆者の人生初の英語の資格試験は英語検定でした。まだ準級がない時代です。中学2年生の時3級、高校2年生で2級、大学3年生で1級を取得しました。その後、米国の大学の大学院留学のためにTOEFLを受験しました。
帰国して大学に就職後1回だけですがTOEICを受験し、900点を突破しました。理由は学生たちにTOEIC受験が必須になっているため自分も受験しておくべきだという考えからでした。
残念ながらIELTSはまだ受験していませんが大変興味を持っています。TOEFLやTOEICの受験システムに、やや疑問を持っていますので、今後はIELTSを受験してみようかなと思っています。
TOEFLに関する疑問点というのは、米国大学院留学中、高得点なのに実力のない韓国人留学生に多く出会ったことです。ペアを組んでプレゼンをする場合も、資料作成や発表用原稿などが書けないのです。聞いてみるとTOEFL600点以上と言っていました。
TOEICに関する疑問点は、あまりにTOEICが L&Rに偏っていて、S&Wが普及していないことです。詳しくは後述します。TOEIC S&Wの今後の普及に期待したいと思います。
私の場合、米国大学院から帰国後、高校の英語教師から大学の教員に転職したのですが、TOEICが900点であったこととは直接には関係ありません。資格試験は英語力のみの評価であり、言ってみれば「道具」です。それよりも専攻分野の知識(私の場合は国際関係と応用言語学)、海外で取得した修士号や博士号の効果の方が大きかったように思います。
私の体験から、現在TOEICのスコアを伸ばそうと努力されている方にアドバイスできるとしたら、英語屋になるのではなく、まず専門性を身に着け、グローバルに活躍するために英語で発信できる力をつけて欲しいということです。小手先の要領でスコアだけをアップしても、実力がなければだめだということです。
TOEIC S&Wについて
TOEICでは英語4技能の半分、すなわちリスニングとリーディングだけしか測れないのが難点だと指摘しましたね。実は、まだまだ普及していないのですが、TOEICスピーキング&ライティングテストも実際にはあるのです。
もし、皆さんが英語を日常的に使う会社を希望する場合で、TOEIC L&R 700以上のスコアを持っている場合は、TOEIC S&Wも受験し、そのスコアも書いておいた方が、より強力にアピールできます。
TOEIC S&Wは、英語でメールやエッセイなどを書くライティング試験と、電話応対や自分の意見を言うなどのスピーキング試験で構成されています。L&Rとの違いを詳しくご説明しましょう。スコアはTOEIC L&Rテストのように990点満点ではなく、スピーキングパートが200点、ライティングパートが200点、計400点満点です。
そして受験料も、TOEIC L&Rテストとはかなり違います。TOEIC L&Rテストの受験料は5,725円 ですが、TOEIC S&Wテストは10,260円です。ただし、スピーキングテストだけの受験も可能で、その場合は6,804円です。ライティングのみの受験はできません。
試験日時、時間も違いますので要注意です。TOEIC L&Rテストは13:00から15:00の120分ですが、TOEIC S&Wはスピーキング20分+ライティング60分、計80分です。月に開催される回数は1回と共通していますが、TOEIC L&Rテストは13時開始の1回のみ、TOEIC S&Wは10時開始と14時開始の計2回あります。スピーキングテストのみの受験なら9:45、11:45、13:45、15:45の中から選ぶことができます。TOEIC S&Wテストのスピーキングパートは「音読問題」、「写真描写問題」、「応答問題」、「提示された情報に基づく問題」「解決策を提案する問題」、「意見を述べる問題」の6つに分かれています。
まとめ
以上、TOEIC900点のメリットと実際に取得してみての筆者の感想をお伝えしてきました。ぜひ参考にしてみください。