TOEICで800点を取る勉強法は?何時間くらい必要? よしこ先生編
1.TOEIC800点ってどれ位すごいの?
TOEIC800点とは、実際にどの位価値があるのでしょうか。
点数として見ると、TOEIC Listening & Readingはリスニング495点、リーディング495点の計990点満点です。そのうち800点は100点満点に換算すると、800÷990×100=80.8080・・・ 、四捨五入で約81点です。
日本国内の就職・転職等で有利になることはもちろん、世界の英語ネイティヴに対しても「Independent User, 中級者以上」だと言うことができます。比較の方法ですが、外国語学習者の習熟度レベルを示すガイドラインCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠、Common European Framework of Reference for Languages)を見ると、自分のTOEICの点数だと初心者からネイティヴまでのどのレベルに当たるか参照することができます。例えば、リスニング400点以上、リーディング385点以上で計800点以上だと、Independent User (中級、B1とB2レベルに分かれる)の中の上のレベル、B2レベルだよと言えます。
引用元:iibc一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会
http://www.iibc-global.org/toeic/official_data/toeic_cefr.html
2.800点は分布的に少ない
具体的にTOEIC受験者の中で800点以上がどの位置にいるのか、今年度行われた試験のデータを使って見ていきましょう。まずは平均スコアから。800点は平均スコアより224点以上高得点です。
平均スコア リスニング322.5点 リーディング253.6点 トータル576.1点
引用元:iibc一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会
http://www.iibc-global.org/toeic/official_data/lr/data_avelist/232.html#anchor01
次にスコア分布、参加者全体の中で800点以上の人が何人、何%いるか見ていきます。
795点以上 4,638人 、全体の12.7%
引用元:iibc一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会
http://www.iibc-global.org/toeic/official_data/lr/data_avelist/232.html#anchor02
TOEIC800点以上が受験者の中でおよそ10人に1人以上の価値があることが分かります。
3.就職・転職等でも有利
外資系企業の進出、日本企業の海外展開、そして日本の主要産業のひとつになりつつある観光業。ビジネス志向のテストであるTOEICで高得点を取得しているだけで、どれだけ幅が広がるか分かりますね。
実は、TOEIC800点 台を取っても実際にネイティヴとスムーズに話せない人はたくさんいます。TOEICのペーパーテストとしての性質上、英会話が出来るようになるのとは別のことです。むしろTOEICの800点とは仕事で英語を日常的に使っていけるための最低限の資質を証明しているもので、800点が足切りとして使われるケースも多くあります。
また、英語学習にどれだけ頑張ったかが分かるので、忍耐力・学習力などがあるかを見る基準にもなっています。こうしてみると、TOEICが有利なのは、非常に日本らしい資格だからなのかもしれません。
4.TOEIC800点とるのにどれ位かかる?
TOEIC800点をとるまでにかかる時間を、今のその人のレベル別に見てみましょう。ただし、これはあくまで一番効率的な勉強方法で、リスニング、リーディングがそれぞれ400点を超えるまでにかかる時間です。実際にはこれ以上の時間をかけてしまうことが多いので、如何に自分に合った勉強方法を見つけるかが大事です。
<リスニング>
- スコア0以上100未満:初心者レベル、ほぼ聞き取れない 240〜320時間
- スコア100以上200未満:少し英語に耳が慣れてきた 180〜240時間
- スコア200以上300未満:簡単な会話は聞き取れる 120〜160時間
- スコア300以上400未満:ネイティヴの会話もゆっくりなら聞き取れる 60〜80時間
<リーディング>
- スコア0以上100未満:完全な初心者レベル 280〜360時間
- スコア100以上200未満:まだまだ英語に抵抗がある 210〜270時間
- スコア200以上300未満:長文読解はまだつらい 140〜180時間
- スコア300以上400未満:英語を読むのが苦でなくなってきた 70〜90時間
TOEIC800点はおよそCEFRでB2レベル、中級者以上にあたり、適切な勉強方法できちんと語学学校に行けば約1年で習得出来るレベルです。つまり、0点から800点になるのに最低必要なのは1年間毎日約2〜3時間以上の学習で、これはよくある「○○時間の勉強でTOEICXXX点に」といった書籍の広告の数値とも一致してきます。
5.TOEIC800点とるための勉強法
TOEIC800点以上をとるための勉強法は大きく分けると2つあります。
一つ目は、公式問題集を使うことです。まずは解いてみて、どんな試験なのかを知り、自分の今のレベルを知り、何が足りないのかを知ることからはじまります。そして足りない部分を勉強したらまた公式問題集に戻り、本番に向けて問題慣れすること。
二つ目は、英語力そのものをあげること。これはものすごくオーソドックスで、英文法、発音、読解、リスニング。TOEICはその人の英語力を正しく把握するための試験なので、これらをバランスよくこなしていれば確実にレベルアップします。逆に伸び悩む人はどこかがうまく行っていないと考えて良いでしょう。
6.勉強法①:公式問題集の使い方
TOEICの学習をはじめる時最初にすることは、まずは公式問題集を一回分、時間も計って解いてみることです。初心者でも上級者でも変わりません。試験は敵を知って我を知り、対策を立てるところからはじまります。出来なくて落ち込むかもしれませんが、間違った学習で時間を費やした後で落ち込むよりはましです。
また、TOEICは公式問題集を何度も解いて問題慣れし、傾向を掴めばかなり点数が伸びると言われています。そういう意味では、純粋な英語力と言い切れない部分があります。なので、公式問題集を一度解いて問題の雰囲気や傾向を掴んだら、その分析に基づいて学習を進めて、そして単語や文法・リスニングなどの足りない部分が一定レベル伸びてきたら、また公式問題集や模擬問題集を解くとしっかり点数は上がります。
TOEICは形式が変わることがありますので、自分が受ける試験の形式に近い公式問題集を使いましょう。
7.勉強法②:英単語・英文法と例文
まず英単語についてです。必ず単語の品詞(名詞・動詞・形容詞など)、意味、例文、発音が分かる辞書や単語帳を使って下さい。これらが1つでも分からなくなると、実際の英文や英会話でどのような意味で使われるか分からなくなり、リスニングでも聞き取れず、自分で英会話をしていく時にも覚えている以外の英文が作れなくなってしまいます。
例えばplayという単語があれば、これが目的語を持つ他動詞としてI play tennis. (私はテニスをします) になり、名詞としてI went to a play(私は芝居を見に行った)にもなることを知っておくことです。品詞を知ることは文法を知ること、その単語を実際にどのように使うかを知ることなので、根気強くいきましょう。
私がお勧めするのは、TOEICに出てくる英文について、正しく発音された例文を音と文字と意味で覚えてしまうことです。単語だけ、意味だけ覚えても意味がなく、例文なら文法も一緒に覚えることが出来て、更に人間は聴覚・視覚など複数の感覚で覚えた方が確実に早く身に付きます。TOEIC本番によく出るような英文に慣れ、スピードも上がります。『出る単特急 金のフレーズ』が根強い人気を誇るのはこのポイントを見事に抑えているからですね。
8.勉強法③:リスニング
リスニング対策の1つ目はできるだけ多く英語の音を聞いて馴染むこと、もう1つは急がば回れで、日本語との発音の違いや発音記号をしっかり理解することをおすすめしています。
1つ目はTOEICのリスニング問題集等でも良いですが、自分の好きなもの、続けられるもので大丈夫です。そして力がついてきたらTOEICよりやや速い、ネイティヴの実際の会話により近いものを聞くと本番が楽になります。TOEICリスニングでは実際の日常会話やビジネスで使う会話が頻繁に出ていますので、英会話レッスンなどで自分も発音・会話する状況に身を置いて、緊張感を持って生の発音を聞くのも有効で、メリハリのある学習になります。
2つ目の発音は嫌がる人が大勢いそうですが、これは近道です。発音記号の違い、例えば英語には2つ以上の「あ」の発音があることを分かってから英単語を覚えて/聞いて/話すのと、知らずにただなんとなくこういう発音だなという認識で英語を使うのとでは、明らかに前者の方が早いのです。
9.勉強法④:長文読解
リーディングの長文は、時間内に終えるには相当のスピードが要求されます。800点台、900点台の人でも時間内に終わらないことがある位です。そして完全に全ての英文を訳せる必要はないのですが、正解出来る位の英文法力、読解力も必要です。
速読は、今まで読んで既に理解出来ている文章で練習するか、速読練習用のテキストはたくさん出ているので、自分にあったレベルのものを選んで学習出来ます。
また、目で追うだけが速読の練習ではありません。耳で速く聞けるようになると読むのも速くなります。TOEICのリスニングはとても短いものですが、映画・ドラマ・ニュースなど何でも良いので耳慣れして(出来ればテキスト付のものを使って読解もして)いくと長文読解にも役立ち一石二鳥です。
10.TOEIC800点を獲得する勉強法まとめ
まず公式問題集に始まり、公式問題集に終わります。公式問題集でレベルチェック→学習→模試で力をつける→本番直前はまた公式問題集へ、というのが基本の流れです。
必ず単語の品詞(名詞・動詞・形容詞など)、意味、例文、発音の分かる単語帳か辞書を使いましょう。TOEIC用単語集と、辞書は無料のオンライン辞書でも上記の全てをカバーしているものがあるので問題ありません。
英単語は地味な作業になりがちで、単語だけ覚えて実際に問題を解けない人にならないためにも、英文法の学習やTOEIC用例文集を平行して使っていくことをおすすめします。気晴らしに英語の英語などをかけておくのもありですね。
リスニングについては、英語に耳慣れしていくことがまず一番ですが、単に聞くだけでなく英単語1つ1つの発音、実際に会話で話される時にどのように発音されるかをマスターしていくと伸びるのがぐんと早くなります。リスニングにも英単語力・英文法力は必要で、全部リンクしています。
まとめ
TOEICは就職・転職や社内昇進に有利に働き、学習を通してネイティヴと渡り合っていく英語の基礎力が得られます。学習方法や優秀なテキストも豊富に出ており、自分の学習をしっかり管理していけば800点は決して不可能な点数ではありません。
ビジネスで実際に使われる英語をどれだけ身につけているかを、非常にバランス良く問うてきます。実際に公式問題集を解いてみると何度違う回を解いてもそこまで大きく点数が変わらないことに気付かされます。
英単語・発音・英文法・長文読解・リスニング、どれが欠けてもどこかで伸び悩むことになるので、公式問題集で自分の不足している分野を正確に把握して的確な学習をしていくことが何より近道です。