英検 スピーキング

英検スピーキングテストを受けるには?テストの内容と対策

昨今、英語はスピーキング能力が重要視されつつあります。「グローバルな人材育成」を目標に、2020年度からセンター試験の英語でもスピーキングが評価の対象になります。ただ聞いたり読んだりといった受動的な英語との接し方よりも、積極的なコミュニケーションができる能力が問われてきています。

そういった意味で、各級で「スピーキングテスト」がある英検は、今の時代の目的によく適った資格試験と言えるでしょう。ここでは英検のスピーキング問題の各級の内容と対策についてご紹介します。

英検5級/4級のスピーキングテスト

2016年の第1回の英検から、一番下のグレードである5級と4級に新たにスピーキングテストが導入されることになりました。5級のレベルは中学校初級、4級は中学校中級程度になります。スピーキングは簡単な英語をきちんと理解し、それで表現ができるかどうかが問われます。

ただし5級4級では、スピーキングテストは合否には影響しません。リスニングとリーディングのテストに合格すれば、スピーキングテストの点数は関係なく合格です。逆にリスニングとリーディングが不合格ならば、スピーキングテストが満点でも不合格です。

とはいえこれから3級、2級と進んでいく上で、スピーキング力はとても重要になってきます。これから高いグレードの級を受ける準備として、しっかり勉強をしておくとよいでしょう。

英検5級/4級のスピーキングテストの内容

テスト時間は5級が約3分で4級は約4分です。他の級では、会場へ行き面接委員と対面式でテストを行いますが、5級と4級はパソコンやスマートフォン、あるいはタブレット端末などを使用して、インターネット上にて録音形式で実施します。

試験内容はイラストと短いパッセージが書かれたカードが提示されるので、まずそのパッセージの音読を行い、それからパッセージについての質問に答えます。続いてイラストについての質問に答え、最後にカードのトピックに関連した、受験者自身のことを英語で答えます。問題数は5級が4問、4級が5問です。

3級や2級と難易度は違いますが、試験形式にそれほど違いはありません。しっかり勉強し、受験しておけば、上級の試験に役立つでしょう。

英検5級/4級のスピーキングテストの対策

試験対策は、事前にしっかりと試験内容を理解しておくことです。難易度はまったく高くなく、リーディングやリスニングができる人なら基本的に対応できるレベル。とはいえ内容をまったく知らないまま受けると混乱し、できる問題までできなくなってしまう可能性もあります。

英検の公式サイトでテストの流れを解説しているページがありますので、しっかり確認しておきましょう。

スピーキング対策に多くの時間を割く必要はないですが、今後3級以上の面接試験の予備練習と考えると、確実に答えが出せるまで練習しておきたいところです。スピーキングはとくに独学が難しい分野なので、このような機会をしっかり活用して、塾の先生などに発音のチェックや指導をしてもらっておくと、今後も正しい発音で英語を理解できるようになっていきます。

英検3級のスピーキングテスト

4級や5級まではスピーキングは「おまけ」程度のテストでしたが、3級以上からは本格的にスピーキングの力が問われます。スピーキングテストで合格しないと3級の資格は得られません。3級の目安は、中学卒業程度の英語力。英語でしっかりと基本的な表現ができる必要があります。

英検3級のスピーキングテストの内容

英検3級では、5級や4級のような録音形式ではなく、実際に面接委員と対面して会話をしり面接形式でスピーキングテストが行われます。

パッセージと、イラストが描かれたカードを使う点は5級4級と同じです。1問目が35語程度のパッセージの音読、それからパッセージの内容に関する質問に答え、続いてカードのイラストに関する質問に答えます。イラストの行動や状況をしっかり英語で描写できる力が必要です。最後に日常生活の身近な事柄などについて、受験者自身のことなどを答えることになります。携帯電話のことや、好きなスポーツといった、カードとは関係のない質問の場合もあり、しっかり対応できる必要があります。

英検3級のスピーキングテストの対策

英語力だけで言えば、3級の1次試験を合格できたならば、まず2次試験で落ちることはないでしょう。しかし人前であまり英語を喋る経験が少ないと、初対面の人と英語で喋るという状況に慌てて、的確に考えや答えを言えなくなってしまうということが試験では起こります。緊張のせいで実力を発揮できず、不合格になってしまうのです。

そこで3級のスピーキング対策は、試験のリハーサルやシミュレーションをしっかり繰り返しておくことが重要です。

まず面接試験の具体的な流れについて、英検の公式ページの一番下に「バーチャル二次試験」という説明がされているので、よく見ておきましょう。

面接委員との形式的な挨拶を、まずはしっかり確実にし、本番では問題にだけ集中できるようにしておくことがまず大切です。それから聞き返す時の言い方や、考える時間が欲しい時の断り方もよく整理しておきましょう。

また試験の問題も、「Why」で聞かれた質問に対して「Because」で答えることや、Yes/No疑問文に対しての答え方など、パターンがあります。たとえ緊張や混乱していたとしても自然と回答ができるというところまでしっかり反復練習をしておけば合格はかなり近づきます。

自信がない人は、『英検3級二次試験・面接完全予想問題』(旺文社)といった面接に特化した本で一冊予習をしておくのがおすすめです。この参考書は、合格のポイントや、聞き取るコツといった情報のみならず、多くの受験者が苦手とする箇所や自信がない箇所を、非常にきめ細やかにフォローしています。付属の問題集も十分な量です。このような参考書をしっかり活用し、実際の試験とまったく変わらないシチュエーションを繰り返し練習しておきましょう。

英検準2級のスピーキングテスト

準2級のレベルは高校の中級。いよいよ本格的且つ実践的な英語力が問われるようになってきます。

英検準2級のスピーキングテストの内容

約6分間、面接委員と対面式の試験です。3級では35語程度のパッセージであったものが、準2級では50語程度まで増え、やりとりのスピードも上がります。

イラスト問題の情報量も倍になります。3級のイラスト問題では、一人の行動について1文で答えればよかったものが、準2級になると「家の中の人間が何をしているか」ということを、いくつか答えるようになります。

質問No.4、5のレベルも上がります。問題カードの絵のトピックに関わることを質問され、その答えと、答えの理由を言う問題です。つまりまずyesかnoで答えられる質問をされ、それに対して答え、さらにその理由を聞かれるので、2文以上の英語で答えるという形になります。

例えば「日本には様々な種類の新聞がありますが、あなたは新聞を読みますか」と聞かれ、yesかnoで答えると、「なぜですか」と聞かれて、それに対して2つ理由を答える。3級は1文で答えればよかったものが、準2級の場合はさらに長い表現で答える必要が出てくるのです。

ただしパッセージ、それからイラストについての質問、受験者自身の意見が問われる、というテストの全体の構成自体は3級以下と変わりません。

英検準2級のスピーキングテストの対策

準2級でも過去問をしっかりと把握しておくことが重要です。レベルは上がるものの、毎回のテストのパターンや傾向は同じなので、しっかりと理解しておきましょう。イラストでは5種類の「行動」が載っており、それに対して現在進行形を使いながら「誰が、何を、どうしている」とSVOの文章で答える、といったパターンです。

2次試験の流れを掴むためには、付属のCDが付いている参考書を使って対策していくとよいでしょう。例えば「【CD+DVD付】10日でできる!英検準2級二次試験・面接完全予想問題(旺文社英検書)」など、2次試験対策専用の参考書がおすすめ。使うべきフレーズがしっかり整理されていますし、2次試験の面接と練習問題が10セット収録されていて、これを繰り返しておけば本番も安心して臨めるはずです。

スピーキングは慣れも大切です。リーディング・ライティング・リスニングは一人でも学習できるのに比べ、スピーキングは一人で勉強がしにくいので、どうしても勉強時間が短くなりがちです。練習相手がいない場合には、独り言を英語で話す練習をしてみましょう。「お昼何食べようかな」とか「疲れたし、今日は早めに寝よう」とか、そういった日常のことを英語で言ってみるようにしてみるのも良いでしょう。さまざまな工夫で英語の発想を身につけてスピーキング力を高めていきましょう。

英検2級のスピーキングテスト

2級は高校卒業程度のレベル。一次試験でも、医療やテクノロジーといった社会性のある骨太な英文を読み込める確かなリーディング力や、ビジネスシーンも見据えた実践的なライティング力などが問われます。当然2次試験のスピーキングもレベルが実践的なものに近づいてきます。

英検2級のスピーキングテストの内容

準2級では50語程度のパッセージだったのに対し、2級では60語に増えます。一番違う点は、2級ではイラストが3コマに増え、ストーリー性を持ったものになることです。20秒で3コマを見て、その状況を文脈や物語という形で説明します。

質問NO.3、4はこの絵のトピックに関して、自分の意見を述べる問題。ここは準2級とほぼ同じです。面接官の考えに同意か反対かを述べ、それから理由を2文で答えます。

英検2級のスピーキングテストの対策

準2級との違いは、分量が増える点です。パッセージの内容について答えるなどといった構成は、準2級とほぼ同じです。そこで対策の第一歩は準2級同様、しっかりと過去問をこなし会話のパターンに慣れることでしょう。

イラスト問題に関しては準2級では人物の行動を一つずつ答えればよかったものの、2級ではストーリーにして答えなければいけなくなる点で難しくなります。絵にいくつか文章が書かれているので、それを利用しながら、イラスト中の文章を自分の文章で補いながら過去形でつなげていき、ストーリーで説明します。

質問NO.3や4で自分の立場を明確にし、2文以上で答えるというのは準2級と同じなので、こちらも準2級より少し分量が多くなったという捉え方で良いでしょう。まだ準2級を受けていないならば、遠回りに見えても順番に受けていく方がおすすめです。

このレベルでは「英語の型」を身体にたたき込んで、何も考えないでも自然と英語の順番で話せる力が必要になってきます。使う構文や文法、単語は中学レベルでも、頭で何も考えなくてもすらすらと出てくるようになるのはかなり大変です。おすすめは「どんどん話すための瞬間英作文トレーニング(ベレ出版)」。この参考書は、中学英文法を使って瞬間的に英語が出てくることを目指したトレーニングができます。

英検準1級のスピーキングテスト

準1級の目安は大学中級程度です。実際の現場でも使えるしっかりとした英語力が問われるようになります。準1級のスピーキングの審査基準は、「社会性が高い、難しい話題であってもしっかりとやり取りができること」です。

英検準1級のスピーキングテストの内容

試験がはじまったら、まず面接委員と簡単な日常会話を行います。「海外に行ったことはありますか」といったカジュアルな質問の、2、3往復程度のやり取りです。ここは採点には含まれません。あくまでウォームアップ程度ですが、やはりここでスムーズに会話ができるかどうかは、以降の問題に対する試験官の印象に関わってくることがあるかもしれません。

続いてイラストが印刷された問題カードが渡されます。そこまでは2級と同じですが、準1級になるとパッセージの音読はなく、4コマのイラストだけを見て、順序立てて物語っていく形式になります。与えられるのは冒頭の1文だけで、あとはすべて自分の言葉で説明していくのです。1分間の考量時間が与えられますが、その間にナレーションの骨格を考え、イラストの内容について2分間で説明するのは、ハイレベルです。

続いてイラストに関連した質問に移ります。自分がもし登場人物ならばどのように考えるかといった問題です。仮定法など高度な文法も操る問題になりますので、その点でもレベルが上がります。

問題カードを裏返すように言われ、カードを見ずに2つ質問に答えます。質問にyesかnoで答え、その理由を説明します。たとえば「禁煙スペースの是非」など、社会性のある問題について受験者の意見を問う問題です。

準1級は、スピーキングの手がかりにできる英文がほとんど与えられない状態で話さなければいけない分量が格段に増えるのが特徴と言えるでしょう。

英検準1級のスピーキングテストの対策

レベルが上がるとはいえ、やはり最初の対策は過去問をしっかり繰り返して内容や試験の流れをしっかり把握することです。

対策として、「英検準1級二次試験・面接完全予想問題(旺文社)」がおすすめです。どこが評価されるか、どの要点を押さえてナレーション問題に取り掛かればよいかなどといった細やかな情報が充実しており、勉強の指針になります。付属のDVDもあり、面接試験中の様子をしっかり映像でシミュレーションできます。繰り返しておけば、本番でも落ち着いて試験を受けられるはずです。

準一級になると、実際に面接委員とアイコンタクトを取りながら会話をしていく普通の日常会話になります。常に話し相手を意識しながら練習を続ける必要があります。頭の中だけでの練習ですと、本番では口がうまく動いてくれなかったり小声や伏し目がちになってしまったりと、印象が悪くなってしまう可能性もあります。相手を常にイメージしながらしっかりと英語を話すということを繰り返すことが重要と言えるでしょう。普段から英語を使って会話をするために、オンライン英会話などの利用も考えましょう。

また自分の声も録音し、何度も聞き直しながら発音を改善していく必要もあります。思ったより聞き取りにくい英語を話していたり、自分が変な発音の癖などがあったりすることに気づくこともあります。

英検1級のスピーキングテスト

英検で最もハイレベルな1級のスピーキングです。もちろんその内容もかなりハイレベルであり、大学上級の英語力が必要になります。単なる英語の知識ではなく、相手に伝える発信力、相手の考えを深いところまで理解できる対応力まで、まさに自由自在に操れる英語力が必要になってきます。

英検1級のスピーキングテストの内容

1級では、まず5つのさまざまなトピックの英文が箇条書きにされた「トピックカード」が手渡され、1分間ほど考えてその中から一つのトピックを選び、2分間一人でスピーチを続ける問題です。その後、スピーチ内容に関わる質問がいくつかされ、それに対し答えていきます。トピックは国内外の社会問題などについて、賛否が分かれるような、どちらの意見が正しいというものではない微妙な話題です。

1分のうちに自分が得意なトピック、意見がはっきりと言えるトピックを選び、スピーチを行いますが、スピーチの中で論拠が弱い部分などが質問で突かれて、慌ててしまうというようなこともあります。

もはや単なる英語力というより、英語でしっかりとした議論ができる力が問われるのです。

英検1級のスピーキングテストの対策

いくらハイレベルでも過去問対策をしっかり行っていくことが大切です。しっかり過去問の問題集を読み、傾向と対策を立てるという基本は忘れずに行っていきましょう。

また発音の正確性やアクセント、イントネーションが間違えていないかなども評価される部分なので、その点も集中的に練習を繰り返す必要があります。発音について一つ一つ丁寧に説明されている参考書を読み、癖などを矯正しておくことも重要になります。また早口過ぎて不明瞭に聞こえないようにも気を付け、面接にふさわしい言葉や、口語などを使わないように気をつけておきましょう。

「2分間」という時間感覚もしっかりとつかんでおくことが重要になるでしょう。2分間のスピーチなので、それよりも20秒くらい短くセットしてスムーズに言えるようになるまで練習を繰り返すのがおすすめです。短めでスムーズにスピーチができるようになっておけば、本番で緊張してしまった時でも、落ち着いて言い直す余裕ができます。

英検スピーキングテストも対策ができる

以上今回は、英検の各級別のスピーキングテストの内容と対策についてご紹介してきました。

スピーキング能力は実際のビジネスの現場でも必要とされる能力であり、確かに英検を利用してしっかりと訓練を積んでおけば、ビジネスの現場などで活躍できる力がつくことは間違いありません。

また各級に共通していることは、態度や姿勢なども採点項目になっているということです。聞き取りやすい明瞭な声で積極的に英語を伝えるように心がけておくことが大切です。どの級を受けるにしても過去問をしっかり行うという基本を忘れないようにしておきましょう。

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