TOEIC 就職

TOEICは就職・転職活動に実際役に立つのか?レベルはどれくらい目指せばよいのかご紹介

1、TOEICスコアと就職の関係は?

ETS TOEIC国際ビジネスコミュニケ-ション協会が2013年に公表した「上場企業における英語活用実態調査」報告書によりますと、アンケートに回答した304の企業の75パーセントが業務で英語を使用しています。この結果から、要求に見合った英語レベルに達していなければ、自分が求める部署や部門に就けないと容易に想像できます。

TOEICスコアを入社希望者の採用時に参考にしていると報告した企業は、アンケートに回答した228社の69.3パーセントに達しました。割合は、製造業の72.3パーセントで、非製造業の64.4パーセントでした。また、公開テスト・IPテストを問わず参考にすると回答した企業は74.1パーセントでした。

現在の企業で海外での業務遂行には社員の英語力が必要不可欠となっていることは、今や企業人を目指す人たちの間では当然のこととされています。つまり、就職にはTOEICスコアの保有が欠かせなくなっていると言えます。

 

2、英語を必要とするグローバル人材の必要性

そもそもグローバル人材の育成が提唱されたのは、今後の人口の推移や海外進出日系企業数の割合がほぼ50パーセント(経済産業省による海外事業活動基本調査結果による)に達しようとする2011年でありました。また、総務省統計局資料(2013年)では、名目GDPにおいて、日本は2000年から僅か4パーセント増(米国:63パーセント増、日本を除く東アジア:399.4パーセント、東南・南アジア:290.4パーセント増)となった結果からも伺えるように、この時日本再生のための基本戦略の一分野として、日本の経済社会を支える人材の育成が急務とされたのは当然に行きつく結論でした。

グローバル人材育成推進会議(2011年)が打ち出した概念の中で、外国語力やコミュニケーション能力が列挙されました。この背景には、次のような日本人の英語力と企業の要望が見えてきます。ETS発表のTOEFL(iBT)の国別ランキング資料(2010年)では、受験国163か国中、日本は135位となり、アジア30か国中27位でした。さらに、2011年に公表されたIMD世界競争力ランキングにおいて、日本は59か国中26位(2017年も同様のランキング)で、特に外国語のスキルが日本は58位とその弱さが露呈されました。加えて、2015年に発表された日本経済団体連合会によるアンケート(回答309社)におけるグローバル人材育成取組みに関する項目で、「本社でのグローバル人材育成が海外事業展開のスピードに追いついていない」と回答した会社数は194社(62.8パーセント)で、また「経営幹部層におけるグローバルに活躍できる人材不足」と回答した会社は170社(55パーセント)に達しました。そこで、国際交渉の舞台で先導的に活躍できる人材の育成を目指し、その達成には国際共通語としての英語力の向上が優先課題とされました。その結果、英語力を測定できるテストとしてTOEICが注目されるようになりました。この理由として、全国80都市に受験地が置かれ、また受験回数も年間を通して10回あるため、英語力の伸長を定期的にチェックできることが考えられます。また、スコアに応じたレベル分けが明白であり、何よりも問題の内容がビジネスを反映するものが多くあるからこそTOEICの受験者が増えているためと考えられます。

このように誕生した英語力の向上を急ぐ考えは、すべての分野で喫緊かつ重要な課題とされました。英語の基礎が提供される英語教育の現場を取り上げますと、TOEICスコア730程度以上を保有する英語教師の数が、中学校英語教員全体の50パーセント、高等学校英語教員全体の75パーセントに達することが目標に掲げられました。

 

3、TOEICは就職の基準に?

前出の英語活用実態調査報告書(2013年)の中で、回答のあった企業(228社)の内28.5パーセントが、新入社員の採用試験に何らかの英語テストを実施していると報告しています。実施される英語テストの中でもTOEICを採用している企業は27.7パーセントに達し、他の英語テストの利用をはるかに上回っています。

同報告書では、約7割の企業がTOEICスコアを参考にするとありましたが、特に新入社員に期待する平均スコアは565で、中途採用社員には平均スコア710でした。また、採用応募時に参考にする平均スコアは625となっていました。今ではこれらの期待する平均スコアはもう少し高くなっていると推測できます。

 

4、TOEICは実際就職活動の足切りにも・・・

特に新卒者による実際の就職活動においては、新卒者には入社を希望する会社の活動に関して一切の実績がないわけですから、確たる採用基準設ける際にTOEICスコアを採用する傾向は非常に強いと考えます。この理由としては、受験者数からも伺えます。年間を通して公開テストの受験者は約120万人もあり、2017年を例にしますと、全体の受験者に対して全学生の受験者が約44.8パーセントを占め、新入社員候補に成り得る学生(高専・短大・大学・大学院・語学学校・専門学校)は約41.6パーセントに達しました。この実態から受験者のスコアを参考にして、足切りが行われることは容易に想像できます。そこで、前出の英語活用実態調査報告書(2013年)を基に考察しますと、グローバル化に伴う業務遂行に必要と期待されるTOEICスコア600が足切りの点数になると思われます。

 

5、TOEICは点数で努力点をアピールできる

TOEICで高いスコアを目指すのであれば、集中力の持続が大きな問題点として浮かび上がってきます。その理由は、120分間を通してひたすら英語を聴き、語彙力を総動員し適語(句)を選び、記述された内容を保持し、その内容と関連する答えを探り出すには、英語の力だけではなく、その英語力が正しく発揮されるための集中力が必要となります。なお、集中力のアップには質の高い睡眠と適度の運動が欠かせません。これらに共通することは、自己管理が必要とされることです。そこで、採用を考える企業にとって、高いTOEICスコアに達した受験者は、上質な自己管理が行えると帰結される可能性が高まります。

また、自分のTOEICスコアの推移を分析し、次につなげることができれば次第にスコアが断続的であっても上昇することでしょう。このようなスコア上昇が示すことは、自己の弱点強化や補強ができる人物と捉えられるでしょう。

TOEICスコアが高くなるにつれて、あらゆる面での忍耐力があると判断されると予想されます。業種や部署

を問わず忍耐力のあることは求める結果が出るまで諦めずにことを進めることができる人物を考えられ、企業にとって貴重は存在になることが予想されます。

つまり、TOEICスコアが示すことは、日常で繰り広げられる企業生活では見られないような受験者の精神活動が伺えるということです。さらに、スコアが上昇することには必ず努力の跡を伺い知ることができますが、この努力とは、ひたすら歯を食いしばることではなく、ある意味科学的な自己分析の結果と見るべきでしょう。

 

6、TOEICのスコアと就職~800点や700点は?~

2018年において、ETS TOEICが公表した直近の6回分の公開テストを見てみますと、総受験者425,847名となり、以下のような分布となります。

スコア       構成比

645以上      36.2%

695以上         27.2%

745以上         19.4%

795以上         12.8%

845以上          7.4%

TOEICスコア700は上の表から構成比は27パーセントを上回り、スコア800は約13パーセント前後と思われます。また、前出の英語活用実態調査報告書(2013年)によりますと、スコア700~795を求める企業は全体(228社)の15.6パーセントで、スコア600~695が20.9パーセントの企業から求められていました。これらの数値から、目標とするスコアは700を目標にして欲しいと思います。

部門別では、国際が平均スコア750を期待し、営業は650、技術は620とありますので、これらのスコアを目指す部門への登用チャンスに役立たたせてください。

さらに、移動や昇進、昇格の要件にTOEICスコアを用いる企業は全体(228社)の15.8パーセントに達し、将来は要件にする可能性がある回答した企業は45.2パーセントでありましたので、益々TOEICスコア800を保持し、英語力の証とする必要に迫られることは間違いないと言えます。

 

7、TOEICのスコアは部門ごとや会社ごとに基準が違う?

会社の部門においてのスコア基準につきましては、ETS TOEIC国際ビジネスコミュニケ-ション協会が2018年に公表した「2017年度受験者数と平均スコア」に記載された結果からみていきたいと思います。、業種別ですが、平均スコアの高い順から、公共団体(約660)、マスメディア(約635)、鉱業(約590)、商社(約560)、サービス(約550)でした。なお、全32の業種の平均スコアは約513.3でした。また、職種別ですが、海外(約680)、法務(約660)、財務(約630)、広報(約590)、マーケティング(約580)の順でした。なお、全職種19の平均スコアは約534.4でした。これらの平均スコアを超えることを目標にすることを勧めます。

なお、前出の英語活用実態調査報告書(2013年)によりますと、28.5パーセントの企業が海外出張者の選抜にTOEICスコア平均675を利用すると回答していますので、このスコアも参考にしたいものです。

 

8、実際にTOEICで給料が変わる会社も・・

TOEICスコアにより給料への直接的及び間接的な影響についてみていこうと思います。まず、直接的なものですが、ある通信関係の会社では、その会社への転職後に期限を設定して、スコアが800に達した場合臨時に100万円の報奨金が出された例があります。但し、普遍的に出されるようなものではありません。今ではその会社の報奨金制度はなくなったようです。また、すべての会社で実施されているものでもありません。

次に間接的な影響ですが、全ての会社に当てはまるものではありませんが、主任に選ばれる参考にTOEICスコア500以上で、海外出張に最低600以上、また会社によっては語学研修に必要とされるスコアは700以上と定めている会社もあるようです。これらのスコアが証明となり、役職手当が加算されたり、出張手当の上乗せが発生することで給与に影響が出ると考えられます。

転職を支援するDODA(2013年12月)によれば、スコアが700を超えてくる層ではスコアと年収の相関が見られるようです。また、スコアなしの人とスコアを持っている人とでは年収に最大100万円の差が生じると記載されています。

 

9、就職時に求められる英語スキル

ETS TOEIC国際ビジネスコミュニケ-ション協会が2018年に公表した「新入社員TOEIC最新データ」によりますと、2018年度の全国の新入社員でTOEICを受験した約36,000人の平均スコアは、リスニング約270、リーディング約220でした。また、受験者数が年々増加傾向にあるスピーキングとライティングテストでは、2017年度における新入社員のスコア分布をから見ますと、スピーキングの平均スコアは約112(受験者数1478人)、ライティンの平均スコアは約136(受験者数965人)でした。

これらのTOEICスコアによる各英語技能に関して、平均以上を目指すことは意義あることです。さらに、グローバルビジネスで活きる英語には、直接的な意思伝達に必要とされるスピーキング力が求められるのは当然と言えます。前出の英語活用実態調査報告書(2013年)によりますと、228企業の内70.2パーセントがスピーキング力の測定が必要と感じていようです。そこで、就職の際に望まれるスピーキング技能を身につけておくことが重要となるでしょう。

 

10、転職時に求められる英語スキル

前出の英語活用実態調査報告書(2013年)では、中途採用社員には平均スコア710が求められていましたが、特に国際部門では、228企業の30.9パーセントがスコア700~795となっており、26.6パーセントの企業がスコア800~895を必要としていました。

また、他の転職希望者との差別化を図るためには、入社後に求められる英語プレゼンテーションでは、そのスキルの高さを目立たせることです。そのためには英語能力としてのスピーキング力の高さを示すことです。ETS TOEIC発表による2017年度TOEICスピーキングテストの平均スコアは約125でしたので、このスコアは多少でも上回った結果が必要かと思われます。

さらに、海外からの様々なメールへの返信などのため、即戦力的な英語ライティング力が求められるでしょう。ETS TOEIC発表による2017年度TOEICライティングテストの平均スコアは約141でしたので、これを上回るライティング力が必要と考えます。特に、ビジネスメール作成の基本は欠かせません。さらに、あなたが関わる部署の意見や考えを簡潔に表現することが望まれます。読み手にダイレクトに意図することが届くためにも英語の基本概念が詰まっていると言える英語文型で分類される第3文型による英語作文を意識することを勧めます。

 

 

11、実際に求められるTOEICでの英語力

TOEIC評価ガイドラインにありますように応答が早く、適切な対応が期待できる範疇に入るスコア800を得ることは、日々のたゆまぬ努力の証であり、努力できる人は強い意志の持ち主で忍耐力と行動力を持ち合わせた人と周囲から見られるでしょう。ほぼ毎日英語に接していない人がスコア800に到達することは不可能と言えるでしょう。リスニングでは、特に微細な音の変化を聞き逃さないための定期的な練習が欠かせません。また、リーディングでは、読んだ内容の一時的な保持能力の高さが求められます。この能力は長文読解問題で時間切れにならない読解スピードにとって必要となるのです。これには脳の訓練が必要不可欠です。スコア800に到達する人は、時間管理を含む生活全般の自己管理が行き届いた人物と判断され、会社から信頼に値すると評価される可能性が高くなると考えます。

 

12、TOEICの点数の上げ方がわからない!そんなときは?

まずは、練習問題に取り組んでみましょう。その結果によりいくつかのスコアアップの対策が浮かんでくると思います。受験者数などに応じて同じ正答数であっても前回と今回のテストスコアに少なからずの変動が見られるTOEICの採点方法からして、全体的に考慮すべき点は、各技能に共通する英語の基礎力の定着を目指すべきです。時間の制約が存在するテストでは、誰でもが無意識であっても緊張感の中に置かれます。そこで、実力が思った以上に発揮できなかったことがこれまでにあったと思います。この解決には徹底した英語の基礎力を身につけることです。その基礎力とは、語順と前置詞、接続関係の理解及び運用です。

聴くときは聴き、読む時には読むとは分かっていても実際になかなか行えないのが外国としての英語能力が測定されるTOEICテストです。例えば、リスニングテストの最中に選択肢を読みながら、時にはその選択肢を日本語に置き換える作業が同時に発生すれば、脳への負荷かかりすぎるので、かなり正答率は落ち込みます。そこで、脳への省エネ化を図る練習を多く取り組むことが、目指す英語力を身につける近道と考えます。各セクションのパート別の練習を、できれば毎日行ってください。

音声的には、自分が目指す英語発音に少しでも近づけばよいと考えることです。口蓋の形と舌筋肉の発達が違う日本人がイギリス英語やアメリカ英語を母語とする人と全く同じ発音を獲得することを望むのはあまりも無理が生じると思います。お気に入りの俳優が出ている映画でのセリフを真似してみると何だか楽しい気分になったりしますので、自分に合った練習を継続することが音声の獲得につながると思います。また、本当に身についているかを確かめたいのであれば英語が分かる人にあなたの話す英語を聴いてもらうことです。聞き手は、欧米人に限りません。英語音に非常に敏感な日本人も数多くいます。要は、あなたにとって適切なアドバイスがあるかどうかです。

さらに、時間の制約ある中であなた自身の英語が使える環境の確保が重要となります。また、その英語学習環境では一種の安心感が求められます。そこで、学習者を中心に置いた安心感のある学習環境を確保するのであれば、本物の英語の定着及び各種英語教授法の習得に成功したプロの英語教師にまず相談してみましょう。あなた自身への解決策が必ず見つかることでしょう。

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