自動詞と他動詞の見極めの極意!プロが教えます
自動詞と他動詞…英文法を勉強していく上で避けては通れませんよね。
学校で英語を勉強していても、この自動詞、他動詞が出てくるあたりで英語が分からなくなった、という話もききます。
また、英文法だけでなく、単語帳を勉強していても「自」や「他」と単語の横に添えられていませんか?
これも、この単語は「自動詞」です、「他動詞」です、またこの意味の時は「他動詞」です、など説明されているのです。
しかし、単語一つ一つに自動詞、他動詞と覚えていてよいのでしょうか?
今回は、自動詞と他動詞の見極め方、そしてそのために覚えたい目的語もあわせてご紹介します。
自動詞と他動詞は何が違うのか
自動詞と他動詞は、目的語を必要するかしないかに違いがあります。
それぞれについて、みていきましょう。
自動詞は目的語を必要としない
自動詞は目的語を必要としない動詞です。
代表的な自動詞として
arrive
go
swim
fly
look
walk
run
などがあります。
これらの動詞は目的語がなくても文になります。
I arrive.
I go.
I swim.
I fly.
といった感じです。
他動詞は目的語を必要とする
他動詞は目的語を必要とする動詞です。
良く使う他動詞として代表的なものをご紹介しますね。
have
see
watch
find
make
hear
buy
などです。
I have
だけでは、何を?と思いますよね。
何?に当たる目的語がなければ、文として成立しないものが他動詞です。
I make
I see
I hear
・・・何を?と思いますよね。
見極めのポイントとしてつかんでおいてください。
知っておきたい、そもそも目的語とは?
目的語は、品詞ではなく、文の要素です。
品詞というのは、他の部分との繋がりを表すもので8つあります。
名詞、動詞、形容詞、副詞、助動詞、前置詞、接続詞、間投詞
文の要素とは、その文の中での位置をいいます。
主語、述語動詞、目的語、補語、修飾語
I buy a bag.
このIは品詞でいえば名詞ですが、文の要素でいえば主語となります。
品詞と文の要素が頭の中でごっちゃになっている人もいますから、一度整理しておきましょう。
さて、文の要素である目的語は、他動詞や前置詞の後ろに、必ず必要となる名詞です。
そう、品詞でいうと、名詞になるのですね。
また、置ける部分は他動詞の後ろか、前置詞の後ろだけ。
ただ、え?これが全部目的語?と思ってしまうほど、長いこともありますから、英語初心者の人は要注意です。これについては、後で詳しく説明しますね。
日本語から、自動詞、他動詞を見極める
意味をとらえることで、自動詞か他動詞かを判別することもできます。
動詞が持っている日本語訳で考えてみましょう。
まず、代表的な自動詞の意味をみます。
arrive(着く)
go(行く)
swim(泳ぐ)
fly(飛ぶ)
look(見る)
walk(歩く)
run(走る)
では、例として「walk」で文を作ってみましょう。
I walk so fast.
私はとても速く走る。
so fastは「とても速く」
もし、ここが無かったら
I walk.
「私は走る」
「~を」「~に」という言葉が無くても成り立つということが分かります。
では他動詞はどうでしょうか。
I watched the TV program.
私は「を見た」 テレビ番組
I bought a coffee maker.
私は「を買った」 コーヒーメーカ
I asked her about this issue.
私は「に聞いた」彼女 について その問題
他動詞の場合、「~を」「~に」という意味が含まれているのです。
つまり何を?誰に?という部分が、目的語になるのです。
自動詞と他動詞の見極めるために知っておきたいポイント
自動詞と他動詞の違いや、「~を」「~に」という意味からの見極め、目的語について分かった所で、知っておきたいポイントをご紹介します。
他動詞が圧倒的に多数
自動詞と他動詞を数で考えると、全体の約90%が他動詞です。
ほとんどが他動詞であることを踏まえれば、「文章を読めば他動詞に当たる」と考えておいてよいでしょう。
自分だけ、他人だけはアテにならない
自動詞、他動詞という名称から「自動詞は自分だけで行う」「他動詞は他人へ向けた動作」などと勘違いしてしまう人もいます。
しかしこの方法はアテにならないので、使わない方がよいでしょう。
というのも、enterという動詞は、入るという意味があり、自分だけで行うように感じますが他動詞です。
同様にattendは出席するという意味で、自分が出席する、というように使いますが他動詞です。
反対に、lookは見るという意味で、他人を見る、他の物を見ると考えて他動詞にしたくなりますが、これは自動詞です。
この方法では、見極めどころか混同してしまう可能性もありますね。
自動詞と他動詞を単語ごとに覚えない
多くの市販されている単語帳は、単語ごとに自動詞、他動詞と書かれています。
しかし、丸暗記はおすすめしません。
というのも、自動詞としても他動詞としても使える動詞が多く存在するためです。
では、それらを無視するのかというと、そうではなく、だいたいの感覚を身に付けてしまうとよいでしょう。
自動詞でご紹介した「run」
実はこの動詞は、自動詞として使う場合と、他動詞として使う場合があります。
runと言えば、英語を習い始めて初期の段階で習う単語ですよね。
その際に習う意味としては、大半は「走る」でしょう。
I run every morning.
私は毎朝走る。
この場合は自動詞として使われています。
また「立候補する」という意味もあるんですよ。
I run for the election.
私は選挙に立候補する。
しかし、他動詞としては「経営する」という意味もあります。
I run a Sushi-bar.
私は寿司バーを経営している。
こうなると、「run」という単語を自動詞として覚えてしまうことができないことが分かります。
単語帳では、下記のように書かれていることが多いでしょう。
「自」走る、立候補する
「他」経営する
なるほど、自動詞としても他動詞としても使われる動詞なのだな、という認識に留め、丸暗記をしないようにしましょう。
例文を使いながら、自動詞として、また他動詞としての使い方を身に付けていく方が理解も深くなり、スムーズに覚えられますよ。
注意したい、自動詞と他動詞で意味が変わる動詞
こういった動詞はいくつかありますから、注意すべき動詞として頭に入れておきましょう。
要注意単語を5つご紹介します。
sell
sellと聞けば「売る」というイメージを持つ人が多いでしょう。
しかし自動詞では「売れる」という意味を持ちます。
This house should sell at a high price.
この家は高く売れるだろう。
Those books will certainly sell.
あれらの本は必ず売れるだろう。
自動詞で売れる、と使う場合には、主語が物になっていることが多いです。
そして、こちらは他動詞です。
I sell books.
私は本を売る。
do
良く使うdoも自動詞と他動詞があります。
私たちが通常使っているのは、他動詞で「~をする」という意味ですよね。
自動詞になると「間に合う、役に立つ、十分である」という意味を持ちます。
This sofa will do for 4 people to sit on.
このソファは4人座っても、十分である。
Any phone will do as long as it can rescue.
救助を呼べるなら、どんな電話でも十分です。
pay
payと言えば、支払うという意味でよく使いますよね。
しかし、自動詞になると「利益になる、割にあう」という意味になります。
使い方として多いのは、「割に合わない」ということ。
To not pay
で、割に合わないと表現することができますよ。
急に聞くと、何の支払い?と勘違いしてしまいますから、覚えておくとよいでしょう。
stand
standは「立つ」という意味で覚えている人がほとんどでしょう。
これは自動詞です。
しかし、他動詞になると「我慢する」という意味になります。意外ですよね。
I can’t stand it.
耐えられない。
I can’t stand watch you.
あなたを見ていられない。
我慢できない、という意味で使われることが多いです。
最近では、この文がよく使えるかもしれません。
I can’t stand this hear.
こう暑くてはかなわない。
attend
出席する、という意味で覚えることの多いattendですが、これは他動詞としての意味です。
I attend the meeting.
私は会議に出席する。
しかし自動詞になると「注意する、精を出す」という意味で使えます。
Please attend carefully.
注意して聞いてください。
Please attend to her speech.
彼女のスピーチをよく聞いてください。
I attend to business.
私はビジネスに精を出す。
飛行機に乗る時に客室乗務員の方がアナウンスする「attention please~(耳を傾けてください)」というフレーズを耳にすることがあると思います。
attentionはattendの名詞形です。このように繋がりで覚えておくと、attendが出席するという意味だけではないとイメージすることができますね。
見極めるために理解しておきたい目的語
自動詞と他動詞を見極めるために重要なキーとなる目的語。
実は、これが初心者にとって理解しにくいことがあります。
目的語にはどのようなイメージがありますか?
I bought this bag.
この場合、bagが目的語になりますよ。これであれば、問題なく理解できるでしょう。
しかし、大きな名詞というのも他動詞の目的語になることがあります。
目的語として覚えておきたい句や節の4つをご紹介します。
動名詞
動詞名はingの形を持つものです。
動名詞を目的語にとる動詞があります。
She stopped crying.
彼女は泣くのを止めた。
cryingが目的語になっていますね。
I have enjoyed talking to him.
彼と話せて楽しかった。
こちらもtalkingが目的語になっています。
名詞的用法の不定詞
名詞的用法の不定詞は名詞句として、目的語になることがあります。
Sarah needs to talk to you.
サラはあなたと話す必要がある。
I hope to become a baseball player.
私は野球選手になることを望んでいる。
That節
名詞節としてよく使われるのがthat節です。
こちらも名詞ですから、目的語になることがありますよ。
My mother always says that I should study English.
母はいつも、英語を勉強すべきだと言う。
I hope that you will be able to come.
私は、あなたが来ることを望んでいる。
She admitted that she made a mistake.
彼女は誤りを認めた。
thatから後が目的語ですから、長いですよね。
また、that節は省略することもできますから、注意が必要です。
I think (that) you can play the piano.
私は、あなたはピアノを弾けると思う。
間接疑問文
whatやhowといった疑問詞や、ifやwhetherなどの接続詞は、目的語になります。
I don’t know what Sarah is like.
サラがどんな人物か知らない。
I wonder what happened.
何が起こったのだろう?
I don’t know whether I should tell you.
あなたに教えるべきかどうか、私には分からない。
He wants to know whether you like her or not.
彼は、あなたが彼女を好きかどうか知りたい。
whatやwhetherの後が目的語になりますから、長い名詞節ですが目的語として捉えられるようになりましょう。
他動詞と目的語の間に副詞が入ることがある
他動詞の後に、名詞や動名詞、toやthat、whetherなどが入れば目的語!と覚えられればよいのですが、他動詞のすぐ後ろに目的語がない場合もあります。
その場合、間に入ってくるのが副詞です。
副詞は動詞を修飾するため、動詞との繋がりが深く、動詞の後に入りやすいのです。
さらに副詞は、文の中で入れる位置が多いため、他動詞と目的語の間にも入ることができるのです。
また、他動詞の後に入ることもありますよ。
語順として覚えておくとよいのが、「他動詞・副詞・目的語」です。
他動詞の後に副詞があっても、辛抱強くもう少し後ろまで見てみましょう。目的語があるかもしれませんよ。
他動詞のすぐ後に目的語が見つからない場合は、早とちりしないよう要注意です。
自動詞と他動詞の見極め方!ポイントを掴んで!
自動詞と他動詞の見極め方をご紹介しました。
目的語を必要とするか、しないかという基本的な法則はもちろん、「~を」「~に」という言葉からも見極めてみてください。
また、他動詞が全体の90%を占めていますから、他動詞ではないか、というスタンスで見ていくのもおすすめです。自動詞と他動詞、両方の使い方ができる動詞もあるため、この単語は他動詞、というような丸暗記はおすすめできません。
自動詞の時はこの意味で、他動詞の時は別に意味になる、と例文を交えながら覚えるとスムーズに覚えられるでしょう。自動詞と他動詞で意外な意味を持つ動詞もあります。注意したい動詞をいくつかご紹介しましたので、ぜひ覚えてくださいね。単語帳には、「自」「他」を表示し、それぞれの意味が書かれているものもあります。できれば、それぞれに例文がついているものを使うと、理解が深まりますよ。
他動詞には目的語が必要ですが、この目的語を理解することも大切です。目的語となる動名詞や不定詞、that節や間接疑問文もしっかりと頭に入れてください。
自動詞、他動詞の仕組みが分かっていても、目的語かどうか判別できなくては見極めが困難です。
that節、間接疑問文になると、目的語が長くなることがあり、これを全部目的語でとっていいの?と不安になることもありますよね。ご紹介した例文を参考に、さらに学習を進めて、目的語をしっかりと捉えられるようにして、自動詞、他動詞を見極めて下さいね。